アファンタジア：何もないことについてのエッセイ

もし世界を新しい方法で見たいなら、簡単なエクササイズがあります：

1. 目を閉じます。
2. テーブルを想像します。
3. テーブルからボールが転がり落ちるところを想像します。

（本当に、これを読む前にやってみてください。待っています。）

できましたか？

それでは、次の二つの質問に答えてください：

1. ボールは何色でしたか？
2. テーブルは何色でしたか？

典型的な人なら、ボールは赤、黄色、または青と答えたでしょう。青いストライプのついた黄色のボールのように、もっと詳細な説明をする人もいます。

テーブルについては、色や木材などの素材を思い浮かべたかもしれません。松やオークのような特定の木材を選んだかもしれません。

しかし、あなたの中には、私のように答える人もいるかもしれません…

何も見えません。

ボールは青でも赤でも黄色でもありません。存在しないのです。

ボールもテーブルも何もありません。

もちろん、ボールやテーブル、そしてボールがテーブルから転がり落ちるときに何が起こるかという概念は理解していますが、目を閉じてもそれらを見ることはできません。

それらは。ただ。存在しないのです。

（画像が見えないだけでなく、ワイヤーフレームなども見えません。）

もしあなたが私に百万ドルを提供しても、ボールがテーブルから転がり落ちることを想像して、心の中でその画像を見ることはできません。

私にとって、「ボールがテーブルから転がり落ちることを想像する」というのは、「ボールがテーブルから転がり落ちることを概念的に理解する」ことに似ています。「ボールがテーブルから転がり落ちる場面を心の中で映像にする」ことではありません。

これはボールとテーブルだけではありません。

妻の顔や息子の顔も想像できません。もちろん、彼らがどんな顔をしているかは知っています。しかし、目を閉じても見ることはできません。30年間妻の顔を見続けてきたし、20年間息子の顔を見続けてきたのに。同じことが自分の顔にも言えます。自分がどんな顔をしているかは知っていて、パスポートの写真も認識できますが、それを「描く」ことはできません。

目を閉じると、文字通り何も見えません。

実は、私は特別な存在ではありません。これは多くの人々の心が働く方法の一つであり、名前もあるのです：

アファンタジア

アファンタジアが存在することを知り、自分がそれを持っているということを知ったのは、4年前に妻と一緒にクイーンズ・ギャンビットを見ていたときでした。主人公でチェスの天才、ベス・ハーモンが薬の影響下で天井にチェスのゲームを描いているシーンがあります。

私はそれが全くできないと述べました。妻はできると言いました¹。

これはショックでした！

彼女はアベンジャーズの一員か、シャーロック・ホームズの悪役のように「記憶の宮殿」を構築してその中を歩き回れる人なのかと思いました。

妻がスーパーパワーを持っていることに非常に興味がありました。しかし、もっと話し合った結果、私が何も「描けない」ことが異常かもしれないということがわかりました。インターネットを数分調べた後、記事やredditのスレッドがこれが事実であることを確認しました。

言うまでもなく、これは非常に驚きでした。

私は欠陥品なのでしょうか？

結局のところ、心の中で絵を描けないということは、厳密に言えば、私は想像力がないということです。あるいは、少なくとも、多くの人が持っているような無制限の「脳内映画館」タイプの想像力がないということです。そして、人々は想像力を大切にしているようです。もし私にそれがあれば、私もそうするでしょう。（しかし、どんな感じか想像することはできません！）

しかし、すべての娯楽を逃していることのほかに、その結果として私は人間として基本的に制限されているのでしょうか？

これは盲目や聴覚障害と同じくらいの障害でしょうか？結局のところ、私は二つの機能する目を持っていますが、「心の目」を持っていません。

さらに悪いことに、それは認知的な制限なのでしょうか？

アファンタジアであることを知ったとき、私の考えはすぐにアインシュタインに向かいました。結局のところ、アインシュタインの最も有名な引用はこれです：

“想像力は知識よりも重要である。”

この引用を初めて見たのは、おそらく大学1年生のときに寮の部屋の壁に貼られていた、舌を出しているアインシュタインのポスターだったと思います。あなたも同じポスターを見たことがあるかもしれません。それはアインシュタインの非常に人気のある画像であり、彼の最も有名な引用です。

さて、アインシュタインはおそらく史上最も優れた人物だったでしょう。つまり、人類史上最も賢い人物が、死後も私に舌を出し、私は本質的に限界のある、不完全で欠陥のある人間だと言っているのでしょうか？

（明らかに、私は想像力があったとしてもアインシュタインにはなれませんし、あなたもどんなに優れた想像力を持っていてもアインシュタインにはなれません。でも、想像力がないことを知ったとき、私が失っているものの重要性を理解したいと思いました。そしてアインシュタインによれば、それは非常に重要なことだったのです。）

正直なところ、私はしばらくの間、このことでかなり打ちのめされていました。

しかし、自己憐憫は悪徳であり、私にとってその克服方法の一つは自己反省と学びです。

したがって、アインシュタインが言ったことに落ち込むなら、もっと学び、彼が実際に言ったことの完全なバージョンを知ることが役立ちます。結局のところ、それはさらに悪いかもしれません！もしかしたら、完全な引用は「想像力は知識よりも重要であり、もし複雑な心象風景を作れないなら、一生トイレ掃除をするべきだ」というものかもしれません。

ここで本当に興味深いことが出てきます。アインシュタインの引用の起源についての良い記事があります。この引用の最初のバージョンは1929年のSaturday Evening Postのインタビューであり、その後1931年の完全な形で引用されています。記事に引用されている1929年のやり取りは次のとおりです：

アインシュタイン：「私は直感とインスピレーションを信じています。時々、私は自分が正しいと感じます。私はそれを知っているわけではありません。王立学会が資金を提供した科学者の2つの遠征隊が相対性理論をテストするために出発したとき、私は彼らの結論が私の仮説と一致することを確信していました。1919年5月29日の日食が私の直感を確認したとき、私は驚きませんでした。私が間違っていたら驚いていたでしょう。」

ヴィエレック：「では、あなたは知識よりも想像力を信頼しているのですか？」

アインシュタイン：「私は芸術家として十分に自由に想像力を引き出すことができます。想像力は知識よりも重要です。知識は限られています。想像力は世界を包み込みます。」

アインシュタインの想像力の重要性に関する考え方は、1931年の完全な形でも反映されています：

「時には理由がわからないまま正しいと感じることがあります。1919年の日食が私の直感を確認したとき、私は少しも驚きませんでした。実際、それが逆だったら驚いていたでしょう。想像力は知識よりも重要です。知識は限られていますが、想像力は世界全体を抱きしめ、進歩を刺激し、進化を生み出します。それは、厳密に言えば、科学研究における実在の要素です。」

私の視点からすると、これらの引用の完全なバージョンは素晴らしいです！私にも直感とインスピレーションがありますし、私の従業員が言うように、私はしばしば自分が正しいと感じています！

実験的な観察だけでなく、直感とインスピレーションが重要であるという考え方には同意します。さらに良いことに、その直感とインスピレーションを持つことは私にもできることです。私の直感とインスピレーションは私にとって等しく現実的ですが、それらには伴う心象風景がありません。

したがって、アインシュタインはこのポスターを持った大学1年生が考えるようなことを言っていたわけではありません。基本的に、彼は直感とインスピレーションの重要性を指摘していただけです。そして直感とインスピレーションは、心象風景があろうとなかろうと、誰にでも利用可能です。

アファンタジアであることを知ってから数年が経ち、その間にかなり考えました。その結果、基本的に人生のすべてにおいてトレードオフがあることに気付きました。

心の中で絵を描けないことには実際にいくつかの利点があります。例えば、私は考えが速いです。これは特に若い頃に当てはまりましたが、今でも40代後半になっても比較的速いです。

育つ過程で、私は知的に自信を持っており、何らかの意味で欠陥があるとは感じませんでした。学業でも優れており、サスカチュワン州のトップ高校の一つを最高平均点で卒業し、いくつかの大学入学奨学金を獲得しました。私の教師の一人は推薦状に「自然で驚くべき知性」を称賛し、私が挑戦するすべてで成功するだろうと書いてくれました。

大学ではいろいろなことに挑戦しました。

学問的には、私の人生で何をしたいのかを模索しながら、いくつかの学部の授業を受けてうまくいきました。理学士号を取得するための要件は60単位（1学期の授業が1.5単位、1年の授業が3単位）でしたが、私は84単位で卒業しました—ほぼ2年分の追加の授業です。コンピュータ科学と心理学のダブル専攻になりました。コンピュータ科学の専攻を追加したのは途中からで、認知心理学の大学院に進学しようと考えていた3年生の心理学専攻生のときでした。認知心理学の教授が、認知において何か素晴らしいことをしたいなら、数学も専攻すべきだと言いました。私は数学が好きではないと言い、「コンピュータ科学ではどうですか？」と尋ねました。（その時、私はコンピュータ科学の授業を一度も受けたことがなく、コードを1行も書いたことがありませんでした。）

彼は一瞬考え、顎を撫でながら答えました。「90％の良さ。」

四つの言葉が人生を変えることがあります。

私はプログラミングが大好きで、非常に抽象的で画像のない脳に非常に適していることがわかりました！その結果、大学院ではなくシリコンバレーに行き、その後カナダに戻り、Leanpubを設立することになりました。

アファンタジアは私の心の働き方の一部を説明します。私が自分の心の働き方を気に入っているなら、論理的に考えてアファンタジアを嫌うことはできません。

速く考えることができるだけでなく、私は本当に速く眠りにつくことができます。妻はそれを嫌っています。

通常、私は2〜3分で眠りにつきます。ベッドに入り、右側に体を向け、枕を調整し、布団の端を脚の間に挟み、考えるのをやめて眠ります。たまに予定を立てたり、スケジュールを考えたり、コードや決定について考えたりすると、妨げられることがあります。その場合、深呼吸をして…そして考えるのをやめます。（また、私はアイマスク、耳栓、鼻ストリップをして寝ます。入力を制御してください。）

眠りにつくときにしないことの一つは「羊を数える」ことです。

今では、なぜその考えがまったく意味をなさないのか理解できるでしょう。私にとって、羊を数えることは「1匹の羊。2匹の羊。3匹の羊。」です。それが何の助けになるのでしょうか？育っている間、羊を数えることが眠りにつくのを助けるという考えは奇妙に思えました。例えば、サータのマットレスのコマーシャルの大きな目をした漫画の羊が漫画のフェンスを飛び越えるような映像で頭をいっぱいにすることはありません。しかし、他の人々が実際にそれをすることができるとは気づきませんでした。

あなたが心の中で絵を描くことができるなら、羊を数える理由は、刺激的で気を散らす可能性のある絵を無害なものに置き換えるためだと思います。そして、フェンスを飛び越える幸せでふわふわした羊よりも無害で落ち着いたものが他に何があるでしょうか？（まあ、牧羊者にとっては無害ではないでしょう。彼らは全ての羊が囲いの中にいるのを数えて眠りにつくのでしょうか？）

あなたが心の中で落ち着いたリラックスした絵を描くなら、最終的にはその絵が消えて、リラックスして眠りにつくことができるでしょう。私にとって、それは目を閉じたときのデフォルトの状態です。それは特別なことではありません。それは瞬時に起こります。

同様に、「幸せな場所」という考えを考えてください。リラックスしようとしたり、瞑想しようとしたりするとき、人々は時々自分の幸せな場所を想像するように言われます。それは私には全く意味がありません。心をクリアにしようとしているのではないですか？なぜ特定のことを考える必要があるのでしょうか？

しかし、多くの人々が目を閉じると心の中で絵や映画が流れることを理解したとき、私はやっと気づきました：

映画をオフにする必要があります。

それはとても難しいに違いありません。

私にとって、これらの映画は存在しないのです。目を閉じると空白です。黒ではなく、空白です。色も画像も何もありません。結局、目を閉じると光子は網膜に当たりません。他に何が起こることを期待できるでしょうか？

これは確かに一種の平和です。目を閉じると、空っぽから始まります。文字通り、何もありません。画像を静止させたり、羊や幸せな場所に置き換えたりする必要はありません。デフォルトで。

私は確かに禅の僧侶ではありませんが、心を静めて眠りについたり、一瞬リセットしたりすることに関しては、悟りを開いています。

では、なぜこのエッセイを書いているのでしょうか？

まず、自分自身のためです。できるだけ明確に考えることが重要だと信じています。特に自分の考えについてです。アファンタジアを知ることは私にとって非常に興味深いことであり、このエッセイを書くことで自分自身をよりよく理解することができました。また、私は普段こんなに個人的な脆弱性を見せることはありません。ですから、これは一種の拒絶療法のようなものですが、グローバルな規模で行っています。

第二に、アファンタジアを持つ他の人々へ。私が初めてアファンタジアを知ったとき、とても暗い考えを持ちました。もしこれがあなたに当てはまるなら、このエッセイがそれを乗り越える手助けになることを願っています。

第三に、アファンタジアを持たない定型発達者へ。（そう、ほとんどの皆さんです。）実際、このエッセイは皆さんにも興味を持ってもらえるかもしれません。過去4年間にわたり、多くの皆さんとアファンタジアについて話してきましたが、多くの皆さんは自分の想像力が生活にどう影響するのかを重要視しているようです。では、想像できないとはどういうことか、そしてそれが考え方や生き方にどのような影響を与えるのか、想像してみてください。

エッセイの終わりまでには、もしかしたら理解できるかもしれません。

このエッセイの目的は、私の視点を共有することで、私の視点だけでなく、あなた自身の視点もよりよく理解してもらうことです。

私が目指しているのは、知的共感と呼ばれるものです。

正式に診断されたことはありませんが、私も自閉症スペクトラムのどこかにいると確信しています。ですから、直感的なタイプの共感、例えば新生児の馬が立ち上がるように自然にできる共感は苦手です。しかし、「馬の共感」に欠けている部分を、自己の立場や他者の立場について内省することによって得られる知的共感で補おうとしています。ですから、ここで目指しているのは知的共感です。

「汝自身を知れ」と言いますからね。

また、アファンタジアを持たないことがどういうことなのかを理解しようとする私の視点も共有したいと思っています。なぜなら、私の考えの一部はおそらくあなたにとってまったく奇妙に映るでしょうから。結局のところ、私は多くの人々ができると主張することを直接経験したことがないのです。もちろん信じていますが、それでも私にとっては根本的に異質なことです。

これにより、あなたも自分自身について興味深い考えを持つかもしれませんし、ひいては自分自身をよりよく理解できるかもしれません。

しかし、最初にあなたが疑問に思うのは当然の質問かもしれません：

どうして自分がアファンタジアだと知らなかったのか？

もっと具体的に言えば、40代半ばまでどうして知らなかったのか？興味深い視点は、かつて同居していたルームメイトから得られるでしょう。

ほぼ30年前、大学3年生の時、しばらくの間Wと呼ぶルームメイトがいました。さて、Wは本当に痩せていました。

なぜでしょう？

Wは文字通り嗅覚がありませんでした。ですから、Wにとって食べ物はお腹が空いたときに食べるもので、空腹が満たされるとすぐにやめてしまいます。結局のところ、嗅覚がないと味は基本的なものであり、食べ物は非常に退屈です。ですから、娯楽としての食事はせず、空腹が満たされるとすぐに食べるのをやめます。（もしかしたら肥満の流行を治す本当の方法は鼻栓かもしれません？）

とにかく、Wにとって食べ物は燃料であり、楽しみではありませんでした。

彼が嗅覚があることに気づいたのは12歳の時だったそうです。

どうやって知ったのでしょうか？

誰かにおならがなぜ大事なのかを尋ねたのです。

（考えてみてください！嗅覚がないと、おならはただの音に過ぎません。それがなぜ大事なのか？）

しかし、嗅覚が実際に人々ができることだと知らずに11年間を過ごすのは本当に興味深いことです。言語にはいたるところにヒントがあるのに！

しかし、私が40年以上もの間、「視覚化」というのが人々が実際にできることであり、心の中に実際の絵を作ることであると理解しなかったのは、自己に対する無知のほうがずっと大きいです！つまり、言語にはそのことについてのヒントがいたるところに散らばっているのに、私は20代と30代を通じてそれを理解せずに過ごしました！

世界平和を視覚化する。ウインカーを使うことを視覚化する。あなたの想像力を使う。そしてもちろん、想像力は知識よりも重要です。

どうして理解できなかったのでしょうか？

「視覚化する」とは、文字通りそれを意味するのでなければ、一体何を意味するのでしょうか？

振り返ってみると、私は「視覚化する」を「概念的に理解する」と解釈していたに違いありません。心の中に絵を作るのではなく。だって、そんなことができるなんてどうやって？（何か特筆すべきことをしているシャーロック・ホームズの悪役でもなければ、普通の人じゃないですよね？）

皮肉なことに、Wと私は当時心理学専攻でした。そして、Wが12歳で嗅覚がないことを発見したのに対し、私は大学1年生の時に自分がアスペルガー症候群である可能性が高いことを発見しました。（当時はアスペルガー症候群は自閉症とは異なるとされていました。自閉症が自閉症スペクトラム障害、またはASDに昇格する前のことです。）アスペルガー症候群が自分自身と自分の経験の多くを説明することに気づきました。しかし、アファンタジアがあることに気づかなかったのは、おそらくアファンタジアを発見しなかったからでしょう：アファンタジアという名前が付けられたのは、私が大学にいた1990年代にはまだなかったのです。

それで、もし何も発見することがないと思うことがあったら、こう想像してみてください：純粋な内省と他の人との会話だけで、発見できることがあるんです！ (まあ、あなた なら想像できるかもしれませんが、私には到底無理です！)

ただ考えたり話したりするだけで何かを発見することができるとは信じられない場合、内なる独白という不思議な現象を考えてみてください。

実は、「内なる独白」または「内的独白」と呼ばれるものがあります。

数ヶ月前、私がLeanpubの共同創設者であるレンとAphantasiaについて話していたとき、彼は彼の内なる独白について話し始め、最近になって一部の人々がそれを持っていないことに驚いたと語りました。彼が彼の内なる独白を説明する様子は、私には全くもって狂っているように聞こえました。彼はそれが役立っていると主張したので、そうなのかもしれませんが、それでも奇妙に思えました。

最近、これはインターネット上でも少しミーム化していたので、これはおそらくAphantasiaのような状況だと推測されます：多くの（またはほとんどの）人々が内なる独白を持っており、もし持っているなら、それが彼らにとって重要であると明確に考えているのでしょう。ですから、私は内なる独白を持っていないと思います。そして、心の中で画像を見る能力とは違って、内なる独白を欲しいとも思いません。正直なところ、この世はすでに十分に騒がしいですから。

（また、私は聴覚よりも視覚の方が強いので、視覚的なものを見逃すことの方がはるかに大きな損失に感じます。）

さて、これはAphantasiaに関するエッセイであり、内なる独白に関するものではないので、これ以上は詳しく述べません。しかし、いくつか注目すべき点があります：

まず、私は内なる独白を持っていないと確信しています。それが何であるかを大きく誤解していない限り。（これらの言葉を見て、口を動かさずに聞くことはできますが、それが内なる独白だとは思っていません。）

次に、私は内なる独白なしで完全に考えることができます。正直なところ、何かを見逃しているとは感じません。

さらに、内なる独白なしで効果的にコミュニケーションを取ることができます。言う前や書く前に心の中で言葉を言ったり考えたりする必要はありません。これは私の妻を苛立たせるもう一つの特徴です：彼女が誰かが彼女に言ったことを話していると、私はすぐに鋭い返答をします。そして彼女はその時それを言えばよかったと言います。内なる独白がないため、考える前に話します。 完全な文章や段落で話しますが、事前にそれらを考え出すわけではありません。それらは即座に完全な形で出てきます。また、遅延が少ないため、エスプリ・ド・エスカリエのリスクも少なくなります。

時々、話す（または書く）ときに後戻りすることもありますが、それはニュアンスを追加するためや脱線するためです—そして、今まさにそうしているように、歳を取るにつれてこれを多くしています—これは内なる独白の欠如に関連しているとは思いません。むしろ、年を重ねるにつれて関連する話をより強く伝えたいと思っているからだと思います。または、非常に知的な息子を育てたので（彼は心の中で画像を作ることができます）、常に私を議論し中断するので、反論を予見しようとすることを内面化したのかもしれません。あるいは、私は脱線を楽しんでおり、年を取るとともに少し自己満足的になったのかもしれません。正直なところ、これら全てが原因でしょう。

最後に、内なる独白を持たないことがAphantasiaと相関があるかもしれません。知る方法はありませんが、正の相関があるという直感があります。（実際、ここで取り上げたのはそのためです。）これは誰かが博士論文として調査するのに興味深いことです。私の仮定では、視覚化と内なる独白の両方に関与する何らかの基礎的な精神システムがあり、Aphantasiaは内なる独白を持たないことと相関しているというものです。そして、さらに多くの相関関係を探したい場合は、自閉症スペクトラムのどこかにいることとも相関を探すことができます。私はおそらくその一部にいます。

ほとんどの人が心の中で画像、漫画、映画を見ていると理解して、私はシスティーナ礼拝堂に目を向けます。

私は生涯で2回それを見たことがあります。1回は子供の頃で、1回は大人の頃です。どちらの時も、羊のように案内されました—しかし、何かを飛び越えるセルタの漫画の羊ではありませんでした。最初の時は、その時点でまだ清掃されていなかったので、とても真剣で多くの作業のように見えました。2回目は清掃されていたので、より明るく鮮やかに見えました。

どちらの場合も、私はそのポイントがよくわかりませんでした。なぜ教会が天井にこれほどの労力をかけるのか？

しかし、もし大多数の会衆が心の中に絵を描くことができるなら、説教に飽きて天井を見つめると、その絵が心に刻み込まれて残るでしょう。

今ではシスティーナ礼拝堂や宗教芸術全般が、なぜ宗教がそれを制作したり禁止したりする努力をするのかがよく理解できます。それは一部の人々にとって非常に強力なものであるに違いありません。一方、私にとっては、ミケランジェロの『ピエタ』の芸術性に驚かされたこと以外、ほとんどの宗教芸術は何の影響も与えませんでした。（本当に：あれを大理石でどうやって作ったのか？）

私は伝統的な宗教的イメージよりも禅庭園にもっと共感を覚えます。目を閉じて禅庭園を視覚化することはできませんが（macOSの背景画像選択にあったものですら、長い間デスクトップの背景にしていたし、実際に見たこともあるのにもかかわらず）、最も落ち着いて集中しているときには、それを見ているときのような感覚になります。

宗教と同様に、文学もまたイメージを用います。実際、アファンタジアを理解した今、文学におけるイメージをよりよく理解できます。（実際、「イメージ」という言葉が深いレベルで何を意味するか考えてみてください！）

フィクションを読むとき、なぜ著者がある人物や場所の描写にそんなに時間をかけるのか理解できませんでした。妻がその描写された人や場所を実際に見ることができると理解したとき、それが完全に変わりました。著者は言葉で読者の心の中に映画を作っているのです！

妻が描写された人々や場所を見えると言ったとき、正直言って驚きました。厳密に言えば、言葉にはどんなシーンを作り出すにも十分な情報がありません。全く足りません。読者が著者の描写を視覚化するときの発明の量は驚異的です。妻は私よりもはるかにゆっくりと読みます。なぜなのか理解できず、時々からかったりもしました。今では彼女が読んでいる間に完全な映画を作っていることを理解しているので、彼女がそんなに早く読むことに驚いています。

また、歴史的に多くの文化が不健全と見なす本を禁止した理由も理解できます。読者が心の中で鮮明な絵や映画を作るなら、本ははるかに不健全になり得るのです！しかし、これをできるだけ冷静に考えると、真の不健全さが著者の想像力から来るのか、それとも読者の想像力から来るのかというのが本当の問題です！

旅行やハイキング、写真撮影を楽しんでいます。目を閉じて記憶の中にテレポートできないのに、なぜそうするのかと聞かれるかもしれません。

なぜわざわざ？

想像の中で再現できないなら、なぜどこかに行ったり何かをしたりするのですか？

確かに、いくつかの瞬間は本当に素晴らしいものであり、それを後から視覚化できないのは明らかなマイナスです。

しかし、本当にその瞬間にいるなら、それを後から再現できるかどうかは問題ではありません。それが生きる価値がなかったなら、再現する価値もありません。そして、後から現在の瞬間を再現しているなら、その瞬間にはいないのです。

または、携帯電話を持っているなら、過去も現在も未来も本当にその瞬間にはいないのです。

だから、私は現在の瞬間に完全に集中しているか（コーディングや執筆などのフロー状態にあるとき）、将来に完全に集中しているように努めています（計画を立てたり、決断を下したりするとき）。デレク・シヴァーズのブログ記事を読んだことがありますが、人々は現在に焦点を当てるか、将来に焦点を当てるかのいずれかだと言っています。強く視覚化できる人々にとって、本当の危険は過去に焦点を当てることだと思います。過去を再現することに多くの時間を費やしているなら、現在も未来も無視しているのです。

私には5キロから10キロの範囲の散歩コースがいくつかあります。その見た目は知っていますが、写真を見るか実際に歩くかしない限り見ることはできません。私は素晴らしい海の景色から3キロも離れていないところに住んでいるという、信じられないほど幸運な立場にあります。だから、毎日そこへ歩いて行って見ることができますが、見ない限り見えません。

毎日海へ歩いて行って、その結果、信じられないほど健康的になっているでしょうか？

残念ながら、そうではありません。代わりに、私は仕事をしすぎます。しかし、アファンタジアがなければ、もっと歩くことが多いかもしれません。ハイキングコースも同じです：近くにとても素敵なハイキングコースがいくつかあり、いつも楽しんでいます。写真を一切撮らないことが、私にとって素晴らしい健康ハックになるかもしれません。そうすれば、愛する景色を見るために外に出る必要があります。しかし、その反面、正直に言うと、仕事に集中したいので、写真はとてもありがたいものです。ハイキングを一度すると、デスクトップの背景は永遠に！

旅行にも同じことが言えます：私は旅行が大好きですが、過去4年間、その愛は主に理論的なものであり、実際に行動に移すことはほとんどありませんでした。テレポートできたり、目を閉じただけで場所を見ることができたりするわけではありませんが、その場所がどのような感じであるか、どのように見えるかは知っています。アファンタジアを持つことでリピート旅行がより楽しいのかどうかはわかりませんが、私はそれを楽しんでいます。

職業的な観点から見ると、アファンタジアにはいくつかの顕著な影響があります。

まず、抽象化に非常に慣れています。デフォルトでは、すべてが他の人よりも抽象的です。そのため、代数を学ぶのは簡単で、コンピュータプログラミングにすぐに夢中になりました。しかし、3D形状を扱うのはいつも直感的ではありませんでした。そして、ニコラ・テスラのように、頭の中で物を発明することは確かにできません。（彼の説明はアファンタジアの正反対のようです。想像力は連続体であり、一方の端にアファンタジア、もう一方の端にニコラ・テスラがいるのかもしれません。）

3D環境の話をすると、方向感覚はしっかりしています。シリコンバレーに住んでいたときは、特定のランドマークの場所を妻よりも覚えていないにもかかわらず、高速道路に簡単にたどり着くことができました。例えば、私たちがお互いに道案内をする方法をパロディにすると、彼女の方法は「道を進んで、その店の赤いオーニングを過ぎた大きな木のところで左に曲がる」という感じですが、私の方法は「ここにいて、高速道路はあっちだから、その方向に進んで、正しい方向に行けばランプにたどり着ける」という感じです。

彼女の方向の考え方は完全に奇妙だと思っていました。今では、彼女のような人が私よりも多く、なぜ彼女がそのように道案内をするのかがわかります。

また、都市では問題ありませんが、モールの店を出るときにいつも逆方向に向かいます。本当に、コインを投げたほうが私よりも正しい方向を示すでしょう。もしくは、店を出るときに常に自分の選択を変えることを覚えていれば、大丈夫です。（もちろん、私の妻はここでも基本的にいつも正しいです。）

このエッセイの初稿は、バンクーバーから東京への10時間のフライト中に書きました（アジアへのフライト、アファンタジア）。

書き始めたときには飛行機に乗って約4時間が経過しており、ちょうどGODZILLA MINUS ONE / MINUS COLORを見終わったところでした。その後、インターネットにアクセスする可能性が全くなく、リサーチしたりTwitterやredditをスクロールしたりして先延ばしにすることもできず、残り6時間ほど座っているだけでした。しかし、エコノミークラスでもラップトップを完全に開けることができました。

そこで、書きました。

このエッセイを書くことは以前にも考えたことがあります。一度、数百語を書いたこともあります。しかし、その後行き詰まり、通常は仕事をすることで先延ばしにし、最終的にはプロジェクトを放棄してしまいました。

今回は何かを完成させました。制約は素晴らしいものです。

また、約17年前に私の最初の本（Flexible Rails）を書いたときに使った同じ生産性のトリックを使いました：ベートーヴェンの交響曲を1番から9番まで順番に、トイレに行く以外は途中で止めずに再生します。これには5時間28分かかりますが、これは書き始めたときに残っていたフライトの時間とほぼ同じでした。

その後、エッセイを数ヶ月間放置し、6月のある日に編集を終えました。私はLeanpubの共同創設者なので、このエッセイもLeanpubで（非常に）短い本として出版されました。

Seinfeldが何もないことについての番組であったように、このエッセイも文字通り何もないことについてのエッセイです。しかし、楽しんでいただけたなら、そして何かを学んでいただけたなら嬉しいです。